1 はじめに
冒頭に、2018年7月26日、東京都多摩市の工事現場で発生した大規模な火災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。又、負傷された方々に対してお見舞い申し上げます。すでに、テレビ、ネット、紙面で大々的に公表されておりご存知の方も多いかと思います。今回は、オフィスビルの施工中に起こった事故ですが、その火災原因を考えますと決して一般住宅(木造)の工事でも軽視できない内容です。今月はこの火災事故について考えていきたいと思います。
2 火災の出火原因
今回の火災は、鉄骨造、地下3階、地上3階建ての事務所ビルの工事現場の地下3階部分で発生。作業員2人が鉄骨をガスバーナーで切断した際に出た火花が、地下3階下の免震階天井の断熱材(発砲ウレタン)に引火した疑いの様です。(参考図2)作業は1人が鋼材を切断、もう1人が火花を水で消火する役割だったそうです。今回の死亡者は火花が断熱材に引火した事により瞬く間に火の手が広がり、逃げ遅れたと思われます。出火当時の写真を見て頂ければわかる様に、凄まじい黒煙です。(参考図1)この黒煙で避難経路を見失い、又煙による窒息したのではないかと思います。当事者もそうですが、隣接の建物への影響も考えると大惨事です。
3 取扱い及び作業手順(参考)
今回、断熱材に使用された発泡ウレタンですが、木造住宅建築にも多く使用されています。施工前の原液はそのほとんどが消防法に定める危険物第4類、第2石油類~第4石油類に分類されます。又、発砲ウレタン自体も指定可燃物として規定され、貯蔵や保管に際し量的規制を受けます。つまり、基本的に非常に燃えやすい材料です。施工時には「火気厳禁」の表示をしなければなりません。そして、施工後に火気を使用する場合には「火気厳禁」の表示に加え、火花の飛散を防止するための不燃材料・防炎
シートなどで養生し、かつ消火器も備える必要があります。当該現場は特殊建築物と言うこともあり、この辺りの対策などはある程度行われていたとの事ですが、この様な大惨事となっています。それでは、では木造住宅建築の現場ではどうかと言うと現状、大半の現場が上記の様な対策が不十分と思われます。
4 まとめ
何故木造住宅の現場では十分な対策が行われていないのか。一般的な木造住宅では、溶接、ガスバーナーなどでの作業が基本ない為、対策の意識自体が非常に低いと思われます。バケツ、消火器すらない現場もあります。近年でこそ、現場内での喫煙を禁止が当たり前になってきたものの、一部の現場では徹底されていない話も聞きます。今回は、ガスバーナーなどの火気使用による火花が出火原因ですが、木造の現場でも火災の危険性は、あります。木材に使用する塗料が火の気がなくても、保管状況に問題があれば気化して自然発火する事も有ります。過去に塗料倉庫は火災が発生して全焼した事故もあります。施工を行う事は、単に品質の良い施工をするだけではなく材料一つ一つの特性を理解し、現場を管理していく事も重要である事を改めて考えさせられた事故だったと思います。JAQUAは技術者育成の中で、単に施工品質の部分だけでなく安全管理も含めたについても伝えて行きたいと思います。